何故、君は緊張するのか。

雑記

以前、半年ほどホテル(結婚式場)のサービスマンとして働いていたことがあります。
派遣として仕事をしていたので、5箇所くらいのホテルに行っていました。おそらくどのホテルも誰もが聞いたことのある高級ホテルです。
従業員はホテルの正社員の様に見えますが、殆どは派遣スタッフなどで、一部の黒服の人だけがホテルから雇用されているようでした。(派遣と言ってもリーダーやマネジメント系の立場になると、それなりの収入は貰っているようです。1つの結婚式でも色んな派遣会社のスタッフが一緒に仕事しています。)
また、日本に留学しに来ている海外の学生?が派遣として働いていることが多いように感じました。
お客さんも海外の人が結構いるので英語が話せると重宝されることや、給与が良く、安くて美味しいまかない飯もあることが人気の要因なのかなと思います。

私個人としては結婚式のサービスマンが一番多かったですが、それ以外にもホテル内の中華料理店、お土産用のお菓子作り、港区女子が好きそうな喫茶店、ビュッフェ形式の宴会、芸能人や経営者、政治家などが来るパーティー、企業がお得意さんを呼んでの営業カフェ、ホテルの朝ビュッフェ、お菓子の家造り、オシャレなバー、夏場のビアガーデン、バニーガールがいるようなパーティー、ただひたすら重いものを運ぶ(どんでん)、などなど、色んな仕事をしてきました。
接客業といったらフェアトレードサークルで物販やったり、学祭で商品を売りさばきまくったりしてましたが、(塾講師は接客業に入らないと思うので)ちゃんとした仕事として接客業をやるのは初めてでした。
とにかく日々大変なことだらけだった印象があります。笑

客層的にお客さんの服を汚したり粗相すると恐ろしいことになるので、最初の頃なんかは手をプルプル震わせながらコーヒーとか注いでました。
それ以外にも、柄の高いワイングラスをお盆いっぱいに持ったり、(やけどしながら)激熱皿を3枚同時に持ったりなど、見た目はスマートに見せても、しんどいことは沢山ありました。(意外とグラス割ったことないのは、慎重な性格が出ているかもしれない。笑)
特に1日に同じ部屋を何回か使うどんでんでは、ステージやテーブルなど、汗まみれになって運搬してました。(物理的な重さだと鳶のときに持ってた鉄パイプやクランプの方が重かったけど。笑)
また、覚えなきゃいけないことも結構あり、食事や食材の内容、物が置いてある場所、飲み物の種類、アレルギーの人の場所、宴会の流れなど、頭をぐるぐるさせながらなんとかやってました。(瞬発力が無いので、瞬間的に口頭で言われるとなかなか覚えられず、ひたすらメモってました。)

また、飲食がどブラックと言われる所以は表に見えない重労働以外に、人間関係が大きいかなと思っていました。
とにかく分刻みでスケジュールが動いているため、裏導線では怒声が日々行き渡っていたりします。サービススタッフ同士であったり、料理人からスタッフ(スタッフより料理人の方が偉そうにしている)だったり、料理人同士であったりしますが、繁忙期は特に殺伐としていました。
仕事をするのに資格等が必要ないため出入りが激しい業界だとは思いますが、例えばAさんはBさんと一緒の部屋(もしくはチーム)NGみたいなことが意外とあり、長いこと仕事している人は上手いこと地雷を避けて仕事しているようでした。(つまりそういう事情をしらない若手はキレてばかりいるおじさんと一緒になりやすい。笑)

そして何より一番大変だったのは、良いサービスをすることでした。
式によっては何万円と払って来ていただいているのです。人生に一度きりの結婚式だったりします。(人によっては。笑)
忙しいとつい、イライラしてしまうものですが、出来る限りお客さんに喜んで貰おうと努めました。
前菜、パン、白ワイン、白魚、赤ワイン、メイン肉、デザート、コーヒー紅茶、、次々と繰り出される料理を出しながら、お客さんにサービスをしていきます。
呼ばれる前にグラスにビールを注ぎ、パンを出し、トイレの場所を伝え、困っていることが無いか聞き、余裕があれば一緒に会話を楽しみ、楽しい時間を共有する。
どんなに余裕が無くても笑顔で。
エンジニアの仕事と違って、お客さんから直接感謝の言葉を聞けるのが、この仕事をしていて楽しく思えるところでした。
最初は何やっても分からず緊張ばかりしていましたが、自分のような不器用な人間でもそれなりに継続していれば(週6くらいを半年間)、ちょっとは仕事が出来るようになるものだなと思いました。

あるとき、ホテル内の喫茶店で働いていたとき、飲食の専門学校に通っている男の子と一緒になりました。
その子に、いつも接客するときに緊張するがどうしたら良いかと聞かれました。
その時点で接客業を始めてから結構経っていたので先輩風を吹かして、
例えば間違って注文を取ったり、失礼なことをしたりしたら、お客さんが機嫌を損ねて怒られたり、自分が恥をかいたりするかもしれない。でもそれって全部、自分が嫌な思いをするかもしれないという思いが根底にあるから、ミスをしようとしないように緊張するんじゃないかと。ベクトルが全部自分に向いてしまっているんじゃないかと。お客さんにちょっとでも喜んで貰えるように、使ってる食材の話をしたり、ワインの銘柄の話をしたり、自分が何が出来るかを考えるようにしたら、自然と緊張しなくなるんじゃないかな
なんてことを偉そうに話し、その男の子に注文を取らせに行かせました。(目を輝かせて注文を取りに行っていたので、たぶん後輩に気持ちよく動いて貰う才能があるかもしれない。笑)

冗談っぽく書きましたが、後輩に語ったことは結構本気で思っていて、仕事が出来ないうちは自分のことで手一杯で余裕なんて無いかもしれませんが、
自分が何が出来るかってことを常に考えて動くのはどんな仕事をする上でも大切なことだと思います。
ちょっとしたことでも良いですし、継続して努力していれば、出来ることはどんどん広がっていくものだと思います。

余談ですが、新卒で入った会社の新入社員歓迎会をこの結婚式場でやり、自分がステージに立つ側になりました。
死にそうになりながらも(比喩ではなく39度くらいの熱出しながら、中華料理運んでたこととか)ありましたが、頑張ってよかったなあってちょっと泣きそうになったのは良い思い出。笑

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